コンサルティング事例

雇用調整の実施と退職金カーブの見直し

依頼の経緯

顧問先であるF社(従業員数50名)が、今般、売上の3分の1を占めていた大口先から契約終了の申し出があり人員削減の必要が生じたため、雇用調整の実施を支援して欲しいとの依頼によるもの。

コンサルティング内容

(1)事業構造改革策の策定支援

F社においては、雇用調整の前提として、事業構造の大幅な見直しが必要であることから、事業構造改革策の策定に関するコンサルティングを行った。改革策として次のような事項について取りまとめた。

  1. 新規事業立ち上げ
  2. 役員報酬の減額
  3. 販管費の削減
  4. 希望退職の募集
  5. 給与カットと退職金制度の見直し
(2)希望退職の設計

希望退職を募集にあたり、必要事項の整理と検討を行った。特に優遇措置については慎重に検討を重ね、次のような優遇措置をとることとした。

  1. 退職金の特別加算
  2. アウトプレースメント会社による転職支援サービス(費用を会社が負担)
  3. 再就職準備のための特別有給休暇の付与
  4. 同業他社への転職応募機会の確保(応募者のうち2名の採用枠を確保)
(3)給与カットと退職金制度の見直し

希望退職の募集人員を最小限とするために引き続き在籍する従業員の人件費を削減する必要があることから、月例給与の10%カットと当面の間、賞与を不支給とすることとした。
さらに、F社は65歳定年制で、退職金も65歳の定年まで増額していく仕組みであったために積立の負担が重荷となり、退職金カーブの見直しが長年の懸案であったことから、これを機として見直すこととした。

(4)希望退職の募集要項・書式および想定問答の作成

希望退職の募集人員を最小限とするために引き続き在籍する従業員の人件費を削減する必要があることから、月例給与の10%カットと当面の間、賞与を不支給とすることとした。
さらに、F社は65歳定年制で、退職金も65歳の定年まで増額していく仕組みであったために積立の負担が重荷となり、退職金カーブの見直しが長年の懸案であったことから、これを機として見直すこととした。

(希望退職の応募状況等)

今回の希望退職募集では、募集人員10名に対して10名の応募があり、雇用調整の目標は達せられた。その理由としては、雇用調整の必要性が従業員にとっても明白であったことはもちろんだが、F社が可能な限りで優遇措置を講じ、特に同業他社から採用枠を確保したことが大きかったものと思われる。
また、長年の懸案であった退職金カーブの問題を、このタイミングで解決できたことは、今後の経営にとってはプラスとなった。