コンサルティング事例

勤怠集計と残業代支払いに関するアドバイザリー

依頼の経緯

顧問先であるB社において、1ヵ月単位の変形労働時間制における残業時間の算出方法に問題があることを指摘し、勤怠集計と残業代の支払方法の見直しのアドバイスを行ったもの。

アドバイザリー内容

(1)現行の勤怠集計方法の問題点

B社では、1ヵ月単位の変形労働時間制を導入しているが、1ヵ月(変形期間)の総労働時間から月の法定労働時間の総枠を差し引いた時間を時間外労働時間として算出していたため、法定の時間外労働時間を下回って集計されている事実が判明した。

(2)勤怠集計方法と残業代支払方法の見直しの検討

1ヵ月単位の変形労働時間制において、法定の時間外労働時間の集計方法は、日単位、週単位、変形期間単位で集計をしていく必要があることを説明。しかし、法定どおり集計を行うことは、実務上難しいとのB社の意見もふまえ、その代替案として、決定したシフト勤務時間(所定労働時間)を超えた場合には、その超えた時間を時間外労働時間として集計する方法を提案した。
  この代替案は、あくまでも日単位で集計すればよいため勤怠集計としては簡便である一方で、法定よりも時間外労働時間が多く集計されるため、残業代の負担が増すこと、さらに次の2点についてもクリアする必要があることを説明。

  1. B社は、月60時間を超える時間外労働に対して割増賃金を上乗せ(50%)して支払う必要があるが、これを法定どおり支払うとすれば、依然として煩雑な法定による集計方法を行う必要があること
  2. 三六協定の限度時間の管理も、法定の時間外労働時間をもって限度管理を行う必要があるため、原則どおりに行うのであれば、やはり法定による集計方法を行う必要があること
(3)代替案による影響度の試算と方針の決定

①および②について、あくまでも代替案によって集計される時間外労働時間をもって、①の支払い、②の限度管理を行うとすれば、法定を上回る対応となり、煩雑な法定による集計方法を行う必要がなくなるため、その影響度を試算するようB社に指示。
B社において試算の結果、残業代(割増賃金の上乗せ含む)の負担も三六協定の限度管理も、十分吸収が可能との判断が下され、代替案を導入することとした。

(4)移行のための実務支援(コンサルティング)

B社より依頼を受け、勤怠集計方法及び残業代支払方法の見直しに伴い必要となる就業規則(給与規程)の見直しおよび従業員向けの説明資料の作成を行った。